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Exnessの4口座タイプすべてを開設し、MT5端末から仕様と価格を実測したうえで、公式ヘルプの手数料の記載を突き合わせた記録です。
Exnessの口座タイプを比較しようとして、途中で手が止まりました。
肝心の数字が、公開されていなかったからです。
正確に言うと、公開されているものと、されていないものがあります。そしてその境目が、なかなか示唆的でした。
指数は銘柄ごとに公開されている
まず、公開されているほう。Exnessの公式ヘルプの株価指数に関する記事では、手数料が銘柄ごとに個別に書かれています。
| 銘柄 | 手数料(1ロット・片道) |
|---|---|
| 日経225(JP225) | $0.02 |
| ダウ(US30) | $0.3125 |
| 豪州200(AUS200) | $0.375 |
※2026年8月時点で公式ヘルプに記載されていた値。
これは親切です。金額が確定しているので、自分で実効コストを計算できます。実際、日経225の$0.02は建玉の0.0095%にすぎず、コストとしてはほぼ無視できる水準でした。
ところがFXは、レンジしか書かれていない
同じ会社の、同じヘルプの、FXに関する記事を開くとこうなります。
- Rawスプレッド口座:1ロットあたり片道「$3.50から」
- Zero口座:1ロットあたり片道「$0.05から」
——銘柄ごとの内訳は、記載なし。
「から」です。指数では銘柄ごとに小数点4桁まで書いているのに、FXでは下限だけ。つまりドル円の手数料がいくらなのか、この記事からは分かりません。
Rawスプレッドは上限で計算できる
Rawスプレッド口座については、まだ何とかなります。公式に「up to $3.50」という上限が示されているので、最悪でも片道$3.50、往復$7と見積もれます。
この$7をpipsに直すと、1ドル157円のとき1.10pips。私が実測したRawスプレッド口座のスプレッド中央値は0.00(8日分のティックのうち98.5%が0.3以下)でしたから、実効コストは0.00 + 1.10 = 1.10pipsになります。
そして同じExnessのスタンダード口座は、実測1.00pipsで手数料なし。
「スプレッド0.0」の口座のほうが、実効コストでは高いという逆転が起きています。これはExnessに限った話ではなく、XM・FXGT・BigBossでも同じ逆転を観測しました。理由はドル円の1pipsが約6.4ドルしかないことにあります。
Zero口座は、開くまで分からない
問題はZero口座のほうです。公式の記載は「片道$0.05から」。これがドル円でいくらになるのかは、どこにも書かれていません。
私は次の方法を全部試しました。
- 公式サイトの契約仕様ページ → すべてログインの内側
- 公式ヘルプのFX手数料の記事 → レンジのみで銘柄別なし
- MT5のAPIから銘柄仕様を取得 → 手数料のフィールドが存在しない(MT5の仕様上、手数料はサーバー側の計算で、銘柄情報として配信されない)
結論として、Zero口座のドル円の手数料は、口座を開いて実際に0.01ロットで1回取引し、約定履歴に計上された金額を見る以外に確認する方法がありませんでした。
私はまだこの実測をしていないので、当サイトのZero口座の実効コストは「不明」のまま掲載しています。推測で数字を書くと、それがそのまま他所に転載されて既成事実になるので、書きません。
なぜ指数だけ公開されているのか
ここからは推測ではなく、構造の話として読んでください。
指数の手数料は「1ロットあたり$0.02」のように絶対額で小さく、しかも建玉に対する比率が極めて小さい。日経225なら0.0095%です。公開しても競争上の不利にならないどころか、安さの宣伝になります。
一方FXの手数料は、通貨ペアによって実効コストへの効き方がまるで違います。ドルが右側にあるユーロドルなら往復$7は0.7pips。ドル円なら同じ$7が1.10pips。同じ金額でも、銘柄によって「重さ」が1.5倍以上変わる。
銘柄別に公開すれば、この差が誰にでも見えるようになります。レンジで書いておけば、読者は自分に都合のいいほう(=安いほう)で計算します。
これは違法でも不誠実でもありません。開示の粒度を選ぶのは事業者の自由です。ただ「開示されている粒度が、項目によって違う」という事実そのものが、読み手にとっては情報だと私は思います。
実測して分かったこと:Exnessの本当の推奨はProだった
手数料の話をここまでしておいて何ですが、Exnessでいちばん扱いやすかったのは手数料のない口座でした。
| 口座タイプ | ドル円スプレッド | 往復手数料 | 実効コスト |
|---|---|---|---|
| プロ | 0.70(全日ぴったり0.7) | なし | 0.70 |
| スタンダード | 1.00 | なし | 1.00 |
| Rawスプレッド | 0.00(98.5%が0.3以下) | $7=1.10pips | 1.10 |
| Zero | 0.00 | 非公開 | 不明 |
※2026年8月14日にMT5端末から取得した8日分のティックの中央値。ロールオーバー時間帯は除外。
プロ口座は実効0.70で、しかも8日間すべての日で中央値がぴったり0.70。ほぼ固定と言っていい安定度です。ストップレベルも0なので、利確・損切りを現在値のすぐ近くに置けます。
ただし公式ドキュメントには誤りがあった
もうひとつ、実測して分かったことがあります。
Exnessの公式ドキュメントには「プロ口座は即時約定(インスタント・エグゼキューション)方式」と書かれています。ところがMT5端末から4口座すべての実行モードを取得したところ、いずれも成行(マーケット・エグゼキューション)でした。
この違いは実務に効きます。即時約定ならリクオート(価格の再提示)が発生する可能性があり、成行なら滑る代わりに必ず約定します。EAを書く場合、どちらを前提にするかで注文の組み方が変わります。
加えてプロ口座は充填方式がFOK(全量約定か不成立か)に固定されていました。EAの注文でIOC(部分約定可)を指定すると、規約とは無関係に1本も約定しません。
仕様は公式の文言ではなく、端末で確かめる。今回いちばん実務的な学びはこれでした。
手数料が公開されていない口座と、どう付き合うか
Zero口座に限らず、条件が完全には分からない口座を使う場面は出てきます。そのときの手順を書いておきます。
- 0.01ロットで1回だけ往復する。約定履歴には手数料が独立した項目で記録されるので、そこを見れば1ロットあたりの金額が逆算できます。
- 損益(profit)だけを見ない。手数料は別項目です。私は別の業者で、945円の損失のうち665円が手数料だったことに後から気づきました。損益だけ見ていると原因が分かりません。
- 徴収のタイミングも確認する。往復分をエントリー時に一括で取る業者もあります(AXIORYがそうでした)。ポジションを持った瞬間に評価損が出るので、驚かないように。
- その金額をpipsに直す。ドル建てなら「往復$X × ドル円レート ÷ 1,000」。この換算を飛ばすと、円ペアでは1.5倍以上の見積もり誤差になります。
まとめ
- Exnessは指数の手数料を銘柄ごとに公開している(日経225は片道$0.02=建玉の0.0095%)。
- 一方FXはレンジのみで、銘柄別の内訳がない。Rawは「$3.50から」、Zeroは「$0.05から」。
- Rawは上限$3.50で計算でき、実効1.10pips。手数料のないスタンダード(1.00)より高い。
- Zero口座のドル円手数料は、公式サイト・ヘルプ・MT5のAPIのどこからも取得できなかった。口座を開いて0.01ロット試すしかない。
- 実測ではプロ口座(0.70・手数料なし・全日固定)が最も扱いやすかった。
- 公式ドキュメントの「プロ=即時約定」は誤りで、実測は4口座とも成行。仕様は端末で確かめる。
手数料が分からないから使わない、という話ではありません。分からないものを分かったつもりで計算に入れない、というだけのことです。0.01ロットの試し打ち1回で確定するのですから、口座を開いたら真っ先にやっておくといいと思います。
そもそも手数料のない口座を選ぶ
Exnessのプロ口座はドル円の実効コスト0.70pipsで取引手数料なし。8日分のティックで測って全日中央値がぴったり0.70という安定度で、ストップレベルも0でした。手数料が別途かかる口座は、換算を間違えると実際のコストを1.5倍以上見誤ります。計算そのものを不要にするのがいちばん確実です。
