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「レバレッジ1000倍は危険」という説明を、具体的な金額とpips数に置き換えて検算しました。結論は多くの解説と逆になります。
海外FXの入門記事を読むと、だいたいこう書いてあります。
「国内FXのレバレッジは25倍まで。海外FXは1000倍も可能ですが、その分リスクも1000倍です。初心者は低いレバレッジから始めましょう」
この説明は、算数として間違っています。
正しくはこうです。損益を決めるのは倍率ではなく、建てたポジションの大きさ(ロット)です。そして同じロットなら、レバレッジが高いほうがロスカットまで遠い。
信じにくいと思うので、実際に数字を置いて計算します。
同じ0.1ロットを、25倍と1000倍で建ててみる
条件を揃えます。
- 口座残高:10万円
- 取引:ドル円を0.1ロット(1万通貨)買う
- ドル円のレート:157円(1ロットは1,570万円分、0.1ロットは157万円分)
- 0.1ロットの1pips=100円
買う量は同じです。レバレッジだけを変えます。
| レバレッジ25倍 (国内FX) |
レバレッジ1000倍 (海外FX) |
|
|---|---|---|
| 建てる量 | 0.1ロット | 0.1ロット(同じ) |
| 必要な証拠金 | 62,800円 | 1,570円 |
| 1pips動いたときの損益 | 100円 | 100円(同じ) |
| 強制決済されるまで 耐えられる値幅 |
372pips | 997pips |
※国内は証拠金維持率100%でロスカット、海外はストップアウト20%として計算。実際の水準は業者により異なります。
逆です。レバレッジ1000倍のほうが、2.7倍長く耐えられます。
なぜこうなるのか
理由は単純で、証拠金として拘束される金額が違うからです。
25倍では、0.1ロットを建てるのに62,800円が「拘束」されます。10万円のうち残り37,200円しか、損失のクッションとして使えません。
1000倍では、拘束されるのは1,570円だけ。残りの98,430円が丸ごとクッションになります。
レバレッジという言葉から「損失が1000倍になる」という印象を受けますが、そんなことは起きていません。レバレッジが決めているのは「いくら担保に取られるか」だけで、値動きによる損益は、建てた量だけで決まります。
では、何が危ないのか
危ないのは、高いレバレッジが「大きく建てられてしまう」という事実のほうです。
同じ10万円の口座で、1000倍なら1.0ロット(157万円分)も建てられます。必要証拠金はたった15,700円です。25倍では逆立ちしても建てられません(628,000円必要)。
では、その1.0ロットを建てたらどうなるか。
| レバレッジ1000倍の口座で | 0.1ロット | 1.0ロット |
|---|---|---|
| 1pipsの損益 | 100円 | 1,000円 |
| 耐えられる値幅 | 997pips | 97pips |
| ドル円の1日の値動きに直すと | 約13日分 | 約1.2日分 |
※ドル円の1日の値動きは、当サイトが実測した直近の水準(1日あたり約78pips)を使用。
レバレッジを変えても耐久力は上がりますが、ロットを10倍にすると10分の1になります。効き方の大きさが桁で違う。
つまり「レバレッジ1000倍は危ない」という言い方は、「1000倍にすると、つい大きく建ててしまう人がいる」という行動の話を、倍率そのものの危険性にすり替えているのです。
正しい使い方:レバレッジは「拘束される資金を減らす」ために使う
この構造が分かると、高いレバレッジの実用的な使い道が見えてきます。
建てる量は自分で決める。レバレッジは、その量を建てるのに拘束される資金を減らすために高くしておく。
結果として、同じポジションでもロスカットまでの距離が伸びる。
実際、私がEAを動かすときも、レバレッジは業者が許す上限に近い値にしたうえで、ロットのほうを設計で決めています。倍率を絞ると、同じロットを建てるのに証拠金が余分に拘束され、クッションが薄くなるだけだからです。
逆に言えば「実効レバレッジ」を見るべき
本当に見るべき数字は、口座の設定倍率ではなく実効レバレッジです。
実効レバレッジ = 建てたポジションの総額 ÷ 口座の有効証拠金
10万円の口座で0.1ロット(157万円分)なら、実効レバレッジは15.7倍。
同じ口座で1.0ロット(1,570万円分)なら、実効レバレッジは157倍。
口座の設定が1000倍でも、0.1ロットしか建てなければ実効15.7倍です。国内FXの上限25倍より低い。「海外FXはハイレバだから危ない」という話が、いかに雑な括り方かが分かると思います。
ただし、高レバに固有の注意点はある
ここまで「倍率は危なくない」と書いてきましたが、実務上の注意点はあります。フェアに挙げておきます。
1. 残高が増えると倍率が自動的に下がる業者が多い
多くの海外FX業者は、口座残高に応じてレバレッジを段階的に制限します。たとえばある業者では、残高$1,500までは1000倍、$10,000までは500倍、それ以上は200倍という具合です。
「1000倍」という表記が使えるのは、残高が20万円強までの範囲、ということが珍しくありません。資金が増えたら倍率が下がるので、同じロットを建てるための証拠金が増え、クッションが薄くなります。この点は事前に確認してください。
2. 口座タイプによって倍率が違う
同じ業者でも口座タイプで倍率が異なります。たとえばXMでは、スタンダードやKIWAMI極が1000倍なのに対し、Zero口座だけ500倍です。低スプレッドの口座ほど倍率が抑えられている、というパターンはよく見かけます。
3. ストップアウト水準は業者ごとに違う
上の計算ではストップアウト20%を使いましたが、これも業者ごとに違います。0%(つまり有効証拠金がゼロになるまで持つ)という設定の口座もあれば、50%で切る口座もあります。耐えられる値幅は、この水準で変わります。
4. 飛んだときの損失上限は「倍率」ではなく「ゼロカット」が決める
価格が飛んでストップアウトが間に合わなかった場合、損失は預けた額を超えます。それを肩代わりするのがゼロカットです。
ただしゼロカットが「口座ごと」か「名義ごと」かは業者によって、そして同じ業者でも口座タイプによって違いました。ここを確認しないと、最大損失がいくらなのかが確定しません。倍率よりよほど重要な項目です。
まとめ
- 損益を決めるのは倍率ではなく建てたロットの大きさ。1pipsあたりの損益は倍率と無関係。
- 同じロットなら、レバレッジが高いほうがロスカットまで遠い(10万円・0.1ロットで、25倍が372pips、1000倍が997pips)。
- 危ないのは倍率ではなく、倍率が高いと大きく建てられてしまうこと。ロットを10倍にすると耐久力は10分の1になる。
- 見るべきは設定倍率ではなく実効レバレッジ(ポジション総額 ÷ 有効証拠金)。1000倍の口座で0.1ロットなら実効15.7倍で、国内の上限より低い。
- 注意点は倍率そのものではなく、残高による段階制・口座タイプ差・ストップアウト水準・ゼロカットの適用範囲のほう。
「レバレッジを下げれば安全」という助言は、実は「同じロットでロスカットを近づけろ」と言っているのと同じです。安全にしたいなら、下げるべきなのは倍率ではなくロットのほうです。
リスクを決める練習をするなら
実効レバレッジの感覚は、実際に建てて必要証拠金と維持率を見ないと身につきません。XMは口座開設ボーナスが全口座タイプで受け取れるので、入金せずにこの練習ができます。最小0.01ロットから建てられ、日本語のサポートもあります。利益の出金に上限もありません(0.1ロット以上×5回・10分以上保有・利益1万円以上という条件はあります)。
